ぽよろぐ

30代父の書く、育児のこと、お金のこと、仕事のこと。

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無痛分娩の経験談

平成最後の春に、我が家に長男が誕生した。出産を無痛分娩で行い、それが大変よかった。出産で母親が辛い思いをしないと、その後の子育てもポジティブに取り組める。無痛分娩の体験談はまだそれなりに貴重性はあると思うので、記録を残しておく。

なぜ無痛にしようと思ったか

妻はアメリカ留学経験が何度かあり、現地でも友人の出産に遭遇していた。アメリカで無痛分娩が普通の選択肢だったことが、選択のきっかけだった。

(↑実際の陣痛室の様子。中央下の注射器に麻酔薬が入っている。注射器からカテーテルを介して背中下部に注入される。)

また私も妻も、健康に寄与すること、痛みを避けるための投資は優先する価値観を持っている。鼻の穴にスイカを入れるほど痛いと言われる分娩時の痛みを、金で解決できるならそうしたい。まして無痛分娩にすることにより、出産時の母体へのダメージが少なく、産後の回復も早ければ、投資対効果もそれなりにあると思われた。

またネット上では、未だに「出産時の痛みを伴わないとありがたみガー」という情緒的な議論が目立つ。妊娠してみるとわかることだが、胎動を伴う妊娠期間中に、ありがたみは重々承知することになるので、気にしなくていいと思う。

また出産全般を通じて言えることだが、実際の出産はそんなに悪いもんじゃない。ネット上に出回ってるお話は、かなり極端な例が多いことも実感した。

病院選び・予算

家から通える病院で、無痛分娩を24時間対応してくれる産婦人科となると、うち(東京都内)の場合は5つくらいしかなかった。最後は病院の雰囲気や、体重制限等の制約の少なさで決めた。

「無痛分娩を24時間対応」について少し補足する。無痛分娩は助産師のみではできず、医師による治療を必要とする。医師が9〜17時のみしかいない産院だと、その時間内に計画的に無痛分娩を終わらせるべく、しばしば陣痛促進剤の使用を伴う。医師が24時間無痛の処置を対応してくれる病院なら、個々のペースに合わせて進めてくれる。

入院費用を諸々見積もってみたけれど、予算はいずれも総額100万円前後で大きな差はなかった。健康保険から出る出産一時金42万円を差っ引くと、持ち出しは60万円前後となる。

無痛分娩にかかる費用の詳細は、別の記事にまとめたのでそちらをご覧ください。

pollog.hatenablog.com

無痛分娩のリスクとメリット

無痛分娩とはいえ、分娩以外の定期検診は通常と変わらない。唯一違うのは、定期的に病院が開催している、無痛分娩の事前説明会に参加すること。

ここで、事前説明を受けた内容と、実際に出産を経験してみた経験談を合わせ、無痛分娩のメリットとリスクをいくつか上げてみる。

無痛分娩とは

無痛分娩とは、陣痛の間ずっと脊髄に近いところの神経にカテーテルで麻酔薬を流し続け、陣痛の痛みを和らげる方法。陣痛の時間は初産婦で12時間~数日、経産婦で数時間~半日かかり、無痛分娩ならその間ずっと痛みをのがすことができる。

ただし、完全に下半身を麻痺させて、全く痛みをなくしてしまうといきみに支障が出るため、麻酔は適度にコントロールされている。そこまで痛くないけど、痛みが来てるのを認知はしてる、というレベル。麻酔のレベルは、徐々に強くなる陣痛の痛さに応じて、患者の希望で徐々調整できる。

麻酔のカテーテルは局所麻酔をしてから入れる。無痛分娩の治療の中で最も怖いと感じるのははここ。下に少し痛い画像失礼します。こちらの写真は、出産後に残った、背中のカテーテルの様子。もちろんつけてる間は痛くないし、仰向けに寝ることもできる。

無痛分娩にかかるリスク

無痛分娩に伴うリスクとしては、麻酔の使用を万が一誤った場合、全身が麻痺してしまい、母体が呼吸困難に陥りうるリスクが説明された。

これは「普通の手術で、麻酔によるリスクがあるから手術するのは辞めますか?」というのと同等の議論だと思った。麻酔は古くから使われている、いわゆる枯れた手法であり、大きなリスクとは言えない。

また無痛分娩の特徴として、いきみが弱まりがちなので、最後に吸引分娩や鉗子(かんし)を使って子供を取り出す確率が高いことも説明された。鉗子を使われても、子供の頭の形は産後もとに戻るので、これはリスクと言うか無痛分娩の特徴のお話。

無痛分娩の唯一の難点は、麻酔部分がかゆいことらしい。陣痛中ずっとかゆみが続くので、妻は「これなら無痛をやめてもいいんじゃないか」と思ったそうだ。ただ陣痛後半、痛みが強まるに連れて痛みがかゆみを超えため、思いを改めたとのこと。

なお、無痛分娩による子供に対する直接の影響はないものと理解した。普通分娩との違いは、母体の下半身の神経に対する麻酔の投与のみであり、羊水には影響がないので、子供に直接影響があるわけではない。

無痛分娩のメリット

無痛分娩のメリットを、出産当日のプロセスとともに説明する。

子宮口が開くまでリラックスして待つことができる

陣痛がはじまると、痛みの波が数分おきにくるようになる。陣痛が始まった妊婦にまず求められるのが、子宮口が開くまでリラックスして待つこと。初産婦の場合、下手したら数日間この状態で待たなければならないので、母親はとんでもなく消耗する。

子宮口が開ききっていないうちに、母親が痛みに反射していきんでしまうと、母体にも子供にもダメージが加わる。下手したら帝王切開をしなきゃいけなくなる。この点、無痛分娩だと、母親は陣痛が始まってからもリラックスして自然と子宮口が開くのを待つことができる。

事前に受けた説明では、子宮口が充分開いてないにもかかわらず、痛みに反射的にいきんでしまっていたお母さんが、途中から無痛に切り替えたことによって帝王切開を免れた例も紹介されていた。

いきみをコントロールできる

子宮口が極大まで開いたタイミングで、母親はいきみを開始する。助産師のアドバイスによると、痛みの波にのるようにいきむのが、効率の良いいきみ方のようだ。とはいえ初産婦で、ひたすら陣痛が痛い中、タイミングを図るのは容易なことではない。

無痛分娩だと、麻酔の強さを調整することにより、弱い陣痛はなにも感じないけれど、痛みが強くなったタイミングのみ痛みを感じるよう調整できる。いきみをコントロールできると、母体が必要以上に消耗せず、胎児に必要以上の負荷もかからず、効率よく出産が進む。結果として妻は初産婦にもかかわらず、入院から12時間で出産した。これは無痛としてもかなり早い方らしい。 

なお、胎児や分娩全般について興味があれば、こちらの本が読み物としておすすめです。 

胎児のはなし

胎児のはなし

 

まとめ

なんだかんだ書いたが、無痛分娩にして一番良かったことは、妻が終始笑顔を絶やさず出産を終えられたこと。

周りのお母さんでも、陣痛が長引いたり痛みがひどかったりして、もともとはきょうだいが欲しかったのに、「子供は1人でいいや」と言ってしまう人がいる。うちの妻とは既に次の子供の話をしている。

歯の治療で麻酔をするのが常識なように、無痛分娩が日本でも広まり、保険適用となることを願う。