この度、私達が住んでいるのと同じマンションの別の部屋を、短期的には投資用、長期的には自己居住用になることも視野に入れ、取得を検討しました。
結論として投資しないことにしたのですが、その検討過程で作成したシミュレーション等は比較的汎用性もある内容だと思うので公開してみます。
収益性のシミュレーション
巷のシミュレーションだと、東急リバブルのシミュレーターが比較的詳細な条件を入れられるようになっていました。
ただ私は、なるべく具体的に実質利回りを知りたかったため、もう少し詳細なシミュレーターをスプレッドシートで作成しました。その入力シートが以下です。
シミュレーションの精度を上げるコツ
とにかく現地現物にあたり、担当者と話をすることです。
購入価格や諸費用については、可能な限り販売担当者と直接話をし、値引きの可能性や具体的な諸費用をヒアリングします。
賃貸に出す際の賃料やコストについては、仲介になりうる地元の不動産屋に事前に相談に行ったのが良かったです。
私が検討していた物件は、過去にも別のオーナーから賃貸に出ていたことがあったので、その際の賃料や条件が載ったチラシを引っ張り出してもらいました。また仲介手数料も不動産屋によってピンキリなので、ここも事前に相談するとかなり具体的な数字を教えていただけました。
不動産屋さんは賃貸のプロでもあるため、私は自分で作ったシミュレーターを見てもらいました。おかげで「だいぶ堅実な数字を入れている」というお墨付きを頂くことができました。
また大きく効いてくる数字が、不動産投資ローンの借り入れ金利です。これはネット上に公開されている数字自体の精度が荒いため、とにかく仮審査を申込み、ある程度の確度の数字を入手する他ありませんでした。
気になる実質利回りは?
不動産投資の利回りには、コストとして購入価格のみ考える表面利回りと、全てのコストを考える実質利回りの2つがあるそうです。現実的に投資を検討する場合、実質利回りをいかにシビアに読めるかが肝だと思います。
また、不動産投資ローンの金利は低くても2%台と、通常の住宅ローンに比べてだいぶ高く、この分が実質利回りにだいぶ効いてきます。実質利回りを上げるには、金利が載る不動産投資ローンの割合を下げる(つまり自己資金の割合を上げる)のが重要であることは想像できるかと思います。
私が検討していた物件では、物件価格の半分くらい頭金を入れて、はじめて実質利回りが1%を超えるという試算が得られました。一般的にフルローンの投資の場合、黒字になることが稀なのではないでしょうか。
不動産投資ローンの申込み結果
不動産投資ローンの金利がどの程度かわからなかったため、3つの銀行に仮審査を申し込んでみることにしました。
東京スター銀行
スター不動産担保ローンというのに申込みました。ところが後日電話がかかってきて、「現在不動産投資用ローンの新規申込みは受け付けていない」と言われました。
スルガ銀行
かぼちゃの馬車で有名になった銀行です。融資上限が10億円、取扱手数料が0.55%と、公開されている条件は他行と桁が違うほど良いです。
ただしこちらは、物件の資産性の面で審査落ちでした。そのフィードバックも、賃料など定量的な理由ではなく、物件の構造を指していたので、根本的に審査基準が厳しくなっている(いちゃもんを付けて落としにかかってくる)印象を受けました。
オリックス銀行
結果的にこちらのみ仮審査が通りました。やり取りもスムーズでしたし、条件面も想定内でした。今後不動産投資ローンを検討するなら、まずオリックス銀行に相談するのが良いのだという印象を持ちました。
結局投資をしなかった理由
最大の理由は、今回検討した物件がハイリスクローリターンであると判断された点でした。想定実質利回り1%では、米国インデックスETFにでも投資していたほうがローリスクハイリターンを見込めます。
また、今回投資を考えた背景には、将来の自分たちの居住の選択肢を広げること(対象物件に将来的に家族を住まわせるなど)もありました。ただこの点を考えても、資産を不動産より動産で持っていたほうが、文字通り流動性が高いと思われたことも、不動産投資に踏み切らなかった理由でした。
不動産投資とは、キャッシュを多く持っている人が、投資の多様化の一環として、全額キャッシュで購入して実質利回り3~4%を得る、くらいの条件でないと手を出しづらいと思った次第でした。