出産が無事に終わり、出生届、児童手当、1ヶ月検診…などと手続きを進める中で、「子供の銀行/証券口座をどうするか?」という問いにぶつかります。なかでもジュニアNISAは「非課税?」というくらいで、それ以上のメリット・デメリットはよくわかっていませんでした。
今回は、ジュニアNISAは案外デメリットが多く、使い勝手が非常に悪いのではないか?という記事です。
ジュニアNISAの期限は2023年まで
ジュニアNISAも一般のNISAも、現状では運用できるのは2023年までとなっています。一方、つみたてNISAの期限は2037年までなので、しばらく制度変更を気にしなくても構いません。2019年からジュニアNISAを始めようと考える場合、最悪運用が5年弱で終わり、それ以降はただ利確のタイミングを眺めるだけと想定して始めることになります。
2023年以降は、「継続管理勘定」と言って、ジュニアNISAを持てる上限年齢である満20歳まで、商品が自動でロールオーバーされます。当然その間、新たな商品の買い付けはできなません。売却はできますが、現金を引き出せるのは子供が19歳になるタイミングになります(後述)。
なお買い付けができないということは、継続管理勘定の期間は、分配金の再投資も引き出しもできないということです(日本証券業協会に問い合わせて確認しました)。ジュニアNISA枠で投信を買う際には、配当の再投資による複利効果は見込めません。
ジュニアNISAで投資した資金の払い出し方法
ジュニアNISAで投資した商品は、基本的に保有者が19歳以上でなければ払い出しできなません。それ以前に払い出そうと思った場合、ジュニアNISA口座自体を解約し、中の商品を全て課税枠として売却することとなります。
ちなみに「払い出し」は「売却」と異なります。
売却 = 商品の売却であり、証券口座内に売却で得た現金が残った状態。普通なら売却益は次の買い付け資金になりますが、NISAは1年間の買い付け可能額に上限があるので、それを超えた場合ただ眠ることになります。
払い出し = 口座からそれ以外に現金を引き出すこと。
つまり18歳までは、利確はできるが現金は手に入れられません。これが金融庁が「長期投資を啓蒙する」ためにジュニアNISAをはじめた仕掛けです。なお子供が20歳になった以降は、ジュニアNISAの中身は一般NISAにロールオーバーできます。
え、いま一般NISA口座って言った?
でもうちの子が20歳になる頃には、現行制度が維持される限り、一般NISAは廃止されているはず…。
つまり一般NISAもジュニアNISAも現行の制度通り運用され、2023年に廃止された場合、ジュニアNISAの非課税枠の恩恵を最大限に受けるためには、2023年までに投資した金額を、子供が満19歳になったタイミングで売却するか、特定口座等に移管する、ということになります。
今年生まれたうちの子の口座を使って、今からジュニアNISAで投資を始めると次のようなイメージです。
2019年(子供0歳)~2023年(4歳) | 毎年上限80万円、合計で400万円をジュニアNISA枠で投資に回せる |
2024年~2037年(18歳) | 投資した商品の推移を眺める。場合によっては利確する銘柄もあるかもしれない。 |
2038年~2039年(20歳) |
売却、および払い出し完了。 または一般口座に移管して、課税枠で運用再開。 |
つまり2024年以降の制度によって、ジュニアNISAの扱い勝手は大きく異なります。
うちの未成年口座およびジュニアNISA口座の使い方
うちは、そもそもジュニアNISAに積み立てられるお金が十分になさそうなので、積極的にジュニアNISAを使わない見込みです。
夫婦2人がつみたてNISAとiDecoにフルで積み立てた場合、毎月の積立額は11万円強になります。これに加えてジュニアNISAを積み立てられるのは、相当稼いでいる人になるでしょう。
また上で書いたとおり、
- 払い出しの制約が面倒くさい
- 分配金の再投資もできない
あたりもネックです。
ジュニアNISAの唯一のメリットとしては、つみたてNISAと違って買い付けタイミングを自由に選べるので、年末に現金が余った場合、それを投資に回す、くらいでしょうか。
また、20年単位で持っていてもいいと思える高配当の単元株を入れておき、淡々と配当を非課税で受け取る、というのもよいでしょう。
うちの場合、どちらかというと子供の口座は、ジュニアNISA口座ではなく普通の未成年口座の方を、複数口座を持てるメリットを享受できるように活用することにします。
IPO当選確率向上
抽選で購入可否が決まるIPO株は、当然持っている証券口座が多いほど当選確率が上がります。当選確率を上げるために子供の口座を使うのは有効でしょう。
株主優待受け取り口数アップ
株主優待は、100株持っている株主に優待品1コ、500株で2コ、1000株で4コ、と、持っている株数と優待の数が比例しないことが多いです。同じ200株でも、親の口座だけで持っている200株と、親子で100株ずつ持っているのでは、株主優待の価値が違います。効率よく優待を得るために、子供の口座を使う、というのも有効でしょう。