先日、自分へのまとめ代わりに、買い換えようと思っている冷蔵庫の記事を書きました。
しかし、家電量販店に行った結果、今回は買い替えをしないことにしました。
理由は、店頭に並ぶ冷蔵庫に全然ピンとこなかったから。家に帰ってから我に返り、しばらくは今あるこぢんまりした冷蔵庫を使うことにします。
今回冷蔵庫の買い替えを考えたきっかけは、来年子供が産まれる予定なので、家を含めて生活を見直したこと。今の冷蔵庫は225lで、二人暮らしにちょうどのサイズ。これをもう少し大きな容量のものに変えようと考えました。
家電量販店に並んでいたのは、ガラパゴス化した冷蔵庫というか、見てくれだけきれいになった冷蔵庫ばかりでした。「ガラパゴス化」だけだと曖昧すぎるので、今日はこの違和感の正体と、どうしたら近未来のキッチンがワクワクするのか考えてみます。
- ガラパゴス化とは?
- 台所家電におけるガラパゴスさ
- Cookpad×地域のスーパーの価格情報→特売品をベースにした献立プッシュ提案
- Hotcookにぶち込んだら美味しい料理ができる家庭的な値段の食材パッケージ
- 料理も習える家事代行
- まとめ
ガラパゴス化とは?
ガラパゴス化とは、製品開発において、視野が狭いまま、局所最適な(特にハードウェアの)高機能化に突っ走ってしまうこと。ガラケーのおサイフケータイなんかがその最たる例で、日本独自のICカード企画×日本独自のケータイによる支払い方法という、最高にクールジャパンなプロダクトです。
よくガラパゴス化の対極として引き合いに出されるのがスマホです。
iPhoneを生み出したAppleや、Androidを開発したGoogleの優れていたところは、スマホをただのハードウェアと見るのではなく、App storeやインターネット等、より広いプラットフォームへのインターフェースと捉えたところ。おかげでスマホは、音楽、アプリ、インターネット接続のための汎用情報端末として、既存の携帯はおろか、音楽プレイヤー、パソコン等の市場をも食い荒らすことになりました。それに加え、スマホ用の動画、アプリ、ウェブサービス等の新しくて巨大な市場を創造してしまいました。
ここまで書いていて気づいたけど、2018年末にして未だ、「プラットフォーム」に該当する日本語ってないですね。「チャリンチャリンを生む共通基盤」とか?
ザクっとまとめると、ガラパゴス化とは、「メタ認知のできなさ」の結果起こる事象なんだと思います。
画面がついているもの
↓
画面を使った様々な用途に使えるもの
↓
様々なアプリを入れ替えることで場面によって用途が変わるもの
という風に、より高かったり広かったりする視点に立てること。
これができないと、
ケータイに画面がある
↓
画素数を100Mpixelにしよう
↓
2画面にしよう
という、直線的に機能を向上させる発想にしかならなりません。こうなってしまうと、使い手も作り手も幸せになりません。
作り手は決められたリリース日までに、できる限りの性能アップを詰め込んだ、高度な単調作業の繰り返しになってしまいます。使い手も新たな遊びの要素を見いだせず、性能比較でしか製品を見なくなってしまいます。みんなクリエイティブではありません。
台所家電におけるガラパゴスさ
ここで台所に視点を戻します。はじめに、台所で行われる調理プロセスを、元製造業にいた人間(私)の視点で整理してみます。
次にこのプロセスに、現在の家電やサービスがどのように支援しているか書き加えます。
さて、こうやって家庭における料理のプロセスを整理し直してみると、冷蔵庫の容量以前に、もっと料理をワクワクさせられたり、生産性を向上させられる点が色々あることに気づきます。というか、冷蔵庫に限らず、家電が台所を支援する時代は終わりつつあることに気づきます。
20世紀は機械工業の発達により、製造現場の生産性が向上した時代でした。21世紀初頭の現在は、ITの発達によりホワイトカラーの生産性が向上しました。そして家庭の台所にも、その波が徐々に入ってきつつあるようです。
この先は私の好き勝手な妄想です。こんな風になったらいいなー。
Cookpad×地域のスーパーの価格情報→特売品をベースにした献立プッシュ提案
料理する上で面倒なのって、「今日の晩ごはん、何作ろう…?」を毎日の夕方に繰り返すこと。かと言って、給食みたいに毎日決められてしまっても人間味がない。せめていくつかの選択肢から選ぶ自由はほしい。
そこでデキる主婦/主夫は、その日安いタンパク質(肉・魚)および野菜を元にその日の献立を考えます。
「今日はアジとキノコが安いから、アジを揚げてあんかけにしよう」
「今日は鶏もも肉が安いから唐揚げを作ろう。つけ合せは白菜のサラダにしよう」
そこで、登録した駅最寄りのスーパーの価格情報と連携したCookpadの登場。
毎日退社直前に、「今日は〇〇スーパーで国産豚肉が大特価!豚肉を使ったメニューはこちら」という通知が送られてくる。料理人はそれを元に、計画立案、購入、それから多分料理自体も、効率よくこなすことができる。料理の手際をイメージする時間が長いほど、調理はスムーズに進むから。おまけにスーパーの売上も上がり、一石三鳥なんじゃないかしら。
これ、実現するにあたっての一番のハードルは、スーパーの価格情報の吸い上げでしょうか。そもそも電子化されてるのかな?
ちなみにデキる主夫/主婦の発想は、この本から拝借しています。
Hotcookにぶち込んだら美味しい料理ができる家庭的な値段の食材パッケージ
うちにはまだHotcookを導入していませんが、引越したら必ずや導入したいアイテムです。
で、このホットクックを導入するなら限界まで調理を自動化したい。どのプロセスが自動化できていないかというと、上の方の図でいう計画→購買のプロセスです。なので、「このパッケージをホットクックにぶち込んで、調理ボタンを押すと美味しい一品ができます」なパッケージがほしい。味わうまで何も考えずとも美味しい料理が出来上がっていてほしい。
本家のシャープも同様のサービスをはじめています。その名もヘルシオデリ。
ただしこのサービス、1食あたりの値段が3000円オーバーと、全く消費者の期待を分かっていません。ホットクックを「自分では作れない美味しい料理を作ってくれる機械」として購入するユーザーがいると思ってるんでしょうか。そうではなく、普段の料理の質とコストは据え置きに、時短のために買っている人がほとんどでしょう。
素材のパッケージ化ならレトルト食品を作っている会社ならどこでも参入できるので、バラエティ豊かなメニューが広がるはずです。ふるさと納税の返礼品にもぴったりだし。
料理も習える家事代行
うちはここ2年弱、Casyという家事代行サービスを月に1~2回使っていて、超助かっています。
Casy家事代行が提供するのはHotcookと同様、調理プロセスのみの代行。このサービスを使った料理の流れはこんな感じ。
Casyキャスト(Casyでは代行スタッフのことをキャストと呼ぶ)からメニューの提案(複数提示されたメニューから作って欲しいものを選ぶ)
↓
Casyキャストから買い物リストの提示
↓
自分たちで買い物
↓
当日決められた時間内にCasyキャストが料理代行
家事代行のいいところは、普段と同じ食材、同じ機材でも、作り手によって料理はこんなに美味しくなるんだ!ということがはっきりわかること。それに加えて、そのやり方をマンツーマンで学べること。加える調味料を最小限にして、素材の味を引き出す作り方をも、今来ていただいている方に教わりました。
というわけで、家事代行は、その瞬間の家事を代行して頂くだけではなく、質の良い家事の方法を学べる点でも有効です。家事の生産性向上策を考える上でも、プロの視点を取り入れることは近道になります。
まとめ
冷蔵庫の見直しをきっかけとして、料理全体の生産性向上について見直してみました。これまで人力でしていた苦労を、色々な工夫やサービスに頼って効率化することで、機械にはできない「何を食べようか考えること」そして「食事」自体を楽しむことができるのだと思います。
また、今回は家事の中でも料理に特化して考えましたが、家事全般についても客観的に見直すことで、より生産的かつクリエイティブになると思います。このあたりは共働きが進み、ロジカルな人間の家庭進出が進むことで、より加速するだろうと思っています。